ウサギ


ストレス性胃腸炎
お出かけは
キライです
  トイレの上で




ゴブの食欲不振の話題が続いているので、レンのエピソードも加えておこうと思う。

これもなかなか強烈な経験で、以後心を入れ替え、ウサギも鳥も少しでも様子がおかしければ、すぐ病院へ連れて行くようになった。



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2006年12月30日(土)

富山市の実家に帰省。

小鳥3羽とウサギ3匹、車はてんこ盛りだ。小鳥たち3羽はウイングキャリー、レンとイチは小ぶりのケージごと(この2匹は同居)、ゴブは小動物用のキャリーでの移動だ。

所要時間は7時間半。山あり、川あり、湖ありの絶景(?)のコース。運転する方としては楽しいが、外の景色を楽しめる訳でもない動物たちにとっては、ひたすらに迷惑な話であろう。


ようやく平地におりて来て、富山市内に入った頃、後ろでウサギたちがバッタンバッタンと騒がしい。さすがに飽きてきたのかと思っていたら、到着後、ケージを降ろそうとして驚いた。レンがトイレの網を外してぶん回していたのだ。中のウッドリターはぐちゃぐちゃに引っ掻き回され、その下に敷いてあったペットシーツはびりびりに破られ、齧られている。

うわっ、ヤバ…。
しかし、時間も遅く、何事も起こらないことを祈るしかない。




2006年12月31日
(日)


ウサギたちは、餌の食いが悪い。ペレットを残しているし、牧草もあまり減っていない。しかし、移動日の翌日はいつもこんなものなので、保温にだけは注意して様子を見る。レンの耳が冷たいのが気になった。




2007年1月1日
(月)

イチとゴブは食欲も元気も回復。しかし、レンはペレットに全く手を付けず、ときどき牧草を齧る程度だ。

お隣の高岡市には、ホームページ「あなたがウサギに出来ること」で有名な年中無休の動物病院がある。帰省中、ウサギたちに何かあれば、そこでお世話になろうと常々思っていたのではあるが、さすがにお元日からというのも気が引けた。

ちょうど、文鳥たちの通院騒動のただ中にあった頃でもあり、“また動物病院!?”と、現実を受け入れがたかったのも事実。

ケージから出せば、喜んですっ飛んで行く元気はあるので、もう1日様子を見よう…とブルーな気持ちになりながら見守った。(こうやって様子を見てしまうのが悪い癖)



夜はケージから出ても、ずっと
椅子の下に引きこもっていました

が、夜になって事態は決定的になった。何も食べないのだ。大好物のリンゴを入れてやっても、匂いをかいでプイッと横を向いてしまう。イチが一人で大喜びして食べてしまった。

レンは、長いことトイレにしゃがみ込んでいるが、小豆のように小さいフンがちょこっとしか出てこない。

これは大変…。翌日、病院へ連れて行くことにした。






2007年1月2日(火)

になって、いよいよレンは元気がなくなっていた。じっとうずくまったまんまである。その日、一番に起床した父によれば、イチが丸まっているレンを包み込むように抱きかかえて寝ていたという。
複数飼いだと、餌の量やフンの状態をつかめないというデメリットもあるが、ピンチのときにもう一方が支えてくれるのが嬉しい。

こんな日にやっている動物病院があるのかと、家族はけげんな顔をしていたが、大急ぎで病院へ向かった。どうしようもなくあせっていて、途中でお財布を忘れた事に気付き、引き返す(初ボケ)。


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動物病院はショッピングモールの一角にある。1月2日は、初売りで大混雑だ。何とか空いている駐車スペースを見つけ、病院を目指すが、ひどい方向音痴のせいでなかなか見つからず、ひざ掛けに包んだキャリーを抱えて右往左往。午前の診療時間ぎりぎりに何とか滑り込んだ(かなり、迷惑な患者)。


受付で、事の次第を説明すると、

「吐いたりとかはしてないですか?」と聞かれて、

「いえ、そこまでは…」と、とんちんかんな事を答える。

用紙に記入し始めて、「あっ、ウサギって吐かないよね…」と、キャリーの中身がウサギだと言っていないことにようやく気付いた(大ボケ。隣にネコを連れた人が座っているのに、何故かウサギの病院だと思い込んでいる…


必要事項を書き込むのが終わらないうちに呼ばれて、診察室に入った。

初めてのキャリーに不満げだったレンは、呼んでも引っ張っても出てこなかった。私は、軽いパニック状態に陥っていた。無理やり、引っ張り出そうとして、

「そんな、首根っこつかんじゃウサギさんが痛いでしょ! 無理はしないでください。」

と一発、獣医さんに怒られる。

「こっちでやりますから」と、以後、私はレンに触らせてもらえなかった。
キャリーを分解して、ようやくレンは出て来た。


「いつから食べなくなったの?」と聞かれて、「12月30日からあまり食べてない」と答えると、

「ウサギは24時間、食べないでいると死んでしまう動物なんです。さっきも、29日から食べなくなったというウサギさんが来て、たった今、亡くなってしまったところです。」

と、さらに怒られる。

いや、すごいタイミングで来てしまった…。

これは、お説教を食らう典型的パターンだと自分でも分かっていたから、当然、来るのが遅いと責められるものと覚悟して行ったのではあるが、さすがにこの言葉は堪えた。

そんな事、言わなくたって…と、かなりへこむ。
(正月早々そんな患者が連続して来れば、獣医さんとしては、そりゃ、一言も二言も言いたくもなるだろう)

それにしても新年早々、大事な愛兎を突然に失った飼い主さんのショックと悲しみは如何ばかりであろうか…。ウサギは本当に足が速いのだ。


そして、さらに…

「大好きなリンゴも人参も食べなくなっちゃって…」と言ったとたん、また、お説教。

「リンゴも人参もダメです。人参は葉っぱをあげてください」と。

(だって、葉っぱ付きの人参なんてどこに売ってるのさ、と内心ブツブツ…)


「他にあげている野菜は?」と聞かれて、

「小松菜とかチンゲンサイとか…」(我が家は鳥中心の食卓)

「小松菜はいいですけど、チンゲンサイはダメです」

「あ、ちゃんと芯の部分は取ってます」と言ったけれど、

「チンゲンサイはウサギに与えてはいけない野菜です」とダメ押し。


「他には?」

「大根の葉っぱとか…」(だんだん、声が小さくなる)

「はい、大根はいいです」(やっと、マルをいただいた・・・けど、大きくため息)



診察は、非常に手際がいい。

口の中を見て「歯には問題ありません」との事。

お腹を触って、「だいぶガスがたまっています」という。

「水を飲んでいるか、よく観察して、飲んでいなければ、夕方、点滴に来てください。翌日、食欲が戻らなければ、毛球症なども疑わなくてはならないので、また来てください。」との事だ。

びっくりするくらい、あっさりと診察は終了した。


“ストレス性の胃腸炎”との診断で、飲み薬を1本出していただいた。


お会計は2,940円。お正月料金くらい取ってくれたらいいのにな、と思う。こんなときに、こんな値段でウサギの大先生に診ていただけて、とっても嬉しかった。


ウサギに優しく飼い主に厳しい先生であるが、こういう獣医さんは大好きである。



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帰りの車の中、やっぱり先に点滴もお願いすればよかったなと、ちょっと後悔した。夕方といっても、もういくらも時間がないのである。

この混雑の中、また病院へ行くのは勘弁して欲しかった。

いくら見ていても一向に水を飲んでくれないので、器に入れた水をレンの口元へ持っていって、飲んでもらった(かなり強引)。

幸い薬が効いたようで、しばらくすると、レンは牧草を齧り始めた。夜にはペレットにも口を付け、一安心であった。





2007年1月3日(水)

朝、レンは元気になったかと期待してケージをのぞくと…、レンはお饅頭になったまま動こうともしない。かなり動揺。

イチが、かいがいしくレンをなめてやっている。普段は悪さばかりしているイチだが、この子がいると、本当に心強い。

薬を飲ませてしばらくすると、少し元気が出てきたようで、牧草を食べ始めた。生野菜の方が食べやすいのか、小松菜を喜んで食べている。その後は、動きも良くなり、夜にはたくさん食べてくれた。





2007年1月4日(木)

休暇も終わり、自宅に帰る日。

朝は昨日と同様に不調。しかも、小さなフンに加え、軟便も混ざっている。我が家のウサギが軟便をしたのは、これが初めて。やはり、レンは大変な事になっていたのだと、しみじみ思う。

薬を飲ませ、牧草と野菜を与えると元気が出てきたようなので、予定通り出発する事に。
途中、休憩の際にのぞくと、案外元気で牧草をもぐもぐ齧っていた。何だか足りなそうな雰囲気だったので、食べやすい場所に牧草を追加補給してやった。

夕方6時半頃に到着し、荷物の運搬と全てのケージの組み立てが終わったのは9時を回る頃であったが、ウサギたちも部屋の見回りをしたかろうと、短時間だけ放してやった。ウサギたちは、家に帰って来たのが本当に嬉しいようで、大はしゃぎだ。





2007年1月5日(金)


レンは元気になった、というか元気になろうと頑張っている。朝はまだ本調子ではなさそうだったので投薬したが、夜には“もう大丈夫”との確信が持てたのでやめにした。

ペレットも牧草もガツガツ食べている。ケージから出してやると嬉しそうに走り回り、何を思ったか、イチに何度もマウンティングして嫌がられている。全く、恩をあだで返すとはこの事。






元気になったよ!

ちょっと痩せちゃったけど、もう大丈夫






2007年1月6日(土)

レン、ますますパワーアップ。夜、部屋の中で遊ばせていると、何度も膝元に寄ってきて「治ったの」と言いに来る。病院に行って治してもらったのが分かるのかと不思議に思う。




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後日、「あなたがウサギに出来ること」の1月のコラム(ひとりごと)を見てびっくり。
どうやら、私は随分優しく接していただいたようだ…。

ウサギにあげてはいけないものをあげ、病院に連れて行くのが遅かったのはこの私(だけじゃないとは思うけど)・・・・・(懺悔)





ウサギ